心臓リハビリテーション指導士認定制度委員会

■第16回日本心臓リハビリテーション学会認定・心臓リハビリテーション指導士講習会および認定試験は、第21回日本心臓リハビリテーション学会学術集会時の平成27年7月20（月）に福岡国際会議場で行われました。

受験応募者は828名で、会員期間2年未満等により受験資格を満たさない応募者からの申請書類を除外して審査し、症例記載不適切、会費未納、辞退などを除いた689名を受験許可とし、685名が受験しました。

受験者の職種の内訳は、医師131名、看護師106名、理学療法士391名、作業療法士16名、健康運動指導士23名、臨床検査技師9名、管理栄養士4名、薬剤師3名、臨床心理士2名でした。

筆記試験は、50問／60分の設問に対し、五者択一、一部2問選択のマークシート方式で行いました。得点分布は平均 点65.6±11.0点(mean±SD)（分布36点～92点）、合格率は70.7％でした。これは、昨年並みの結果でし た。今回の受験合格者は484名となりました。

■職種別合格率

今年も職種によって合格率が大きく差がみられました。心臓リハビリテーションは単なる離床プログラムではなく、運動と生活習慣 の改善という手段を使って行う心疾患治療手技です。いくつもの大規模な研究で、安定狭心症の70%ではしっかりと内科的治療を行えばカテーテル治療は行わなくて済むとのデータが出されています。また、心不全患者の全身状態に介入して予後を改善させるのは心臓リハビリテーションです。ということは、左前下行枝に残存狭窄を有する患者や、BNPが1000pg/mL以上の患者を扱わなければならないということです。このような時に、心臓リハビリテーション指導士は正しい知識のもと、適確な運動と教育を実践しなければなりません。自信を持って患者に接し、望ましい結果を残してこそ、他のスタッフからの信頼を勝ち取る ことができます。

今年は後藤理事長のご意見のもと、CPX関係の問題を増やしました。運動療法は心臓リハビリテーションの大きな柱の一つです。循環器疾患を扱うにあたり、労作時に体がどのように変化するのかは知っておかなければなりません。そして、その変化がCPXでどのように表現されるのかも知っていなければなりません。ただ、運動させるのではなく、このように運動をさせれば体はどのように応答するはずだということを考えながら運動を指導できるのが「指導士」です。この考えは来年も変わりません。CPXをしっかりと理解・経験した心臓リハビリテーション指導士になって下さい。
この試験には栄養学や心理など、日常臨床ではそれぞれの専門家に任せるような分野も出題されます。その結果、心臓リハビリテーション指導士は、心疾患をトータルに治療できるスタッフになるのです。
心臓リハビリテーション指導士のハードルは低くありません。しかし、以上のことを理解して、心臓リハビリテーション必携をはじめとする書籍を読み込み、実際の現場で患者の検査結果を自分で評価し、多くの講習会・研究会に参加し、知識と経験を積んでください。それが合格への最高の道です。
最後に、めでたく合格した受験者の皆様、おめでとうございます。でも、これはゴールではなくスタートです。今は、ただ、「指導士」という肩書を手に入れ、 患者から少し信頼されるようになっただけです。これから、さらに経験と研鑽を積み、患者の症状を治し、予後を改善させられるようになってこそ本当の指導士です。頑張りましょう。
認定証は9月以降送付予定ですのでお待ちください。認定期間は平成27（2015）年9月1日～平成 32（2020）年8月31日です。資格維持のためには会員を継続することと、5年間に50単位の更新単位を取得することが必要です。また連絡先や所属が 変更になった場合は、すみやかに事務局にご連絡ください。更新のお知らせ等の重要な情報が届かなくなる可能性があります。