理事長挨拶
1.理事長挨拶
特定非営利活動法人日本心臓リハビリテーション学会 理事長 福本義弘
(久留米大学医学部 内科学講座心臓・血管内科部門 主任教授 )
2024年8月1日付けで、牧田茂先生の後を受けまして、日本心臓リハビリテーション学会の理事長を拝命いたしました。2024年に設立30周年を迎えた歴史ある本学会の理事長を担当させていただくことを非常に光栄に存じますとともに、今後のわが国の心臓リハビリテーション診療の発展に寄与しなければならないという重責を考えますと、身の引き締まる思いでございます。
健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(平成30年法律第105号)に基づき策定された「循環器病対策推進基本計画」では、わが国の循環器病に対する包括的な対策として、心臓リハビリテーションの意義と役割がしっかりと明記され、令和5年から令和10年までの6年間を第2期として本基本計画が実行されています。すでに回復期リハビリテーション病棟での心大血管疾患リハビリテーション料の算定が可能となっており、令和6年の診療報酬改定では、肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症)に対する心臓リハビリテーションも算定可能となっております。今後、さらなる心臓リハビリテーション診療の拡大・進展が望まれるところであります。
これからも、日本循環器学会、日本脳卒中学会などの循環器関連学会と共同して、情報共有や活動を密にし、会員の皆様方にもご協力をいただきながら、学会運営・教育・診療における横断的な課題を解決していくことになると思います。それに付随して、厚生労働省科学研究など立派な研究成果を出していきたいと考えております。
当学会の会員数は16,000名を超え、多職種が正会員となっている循環器関連学会では最大規模を誇っています。医師のみならず心臓リハビリテーションに関するメディカルスタッフが一堂に会して、同じ目線で活動するユニークな学会です。理事会構成も医師21名、メディカルスタッフ9名であり、しかも女性理事が6名、と他学会と比較してバランスのとれた構成になっています。今後は女性理事をさらに増やしていくことが重要と考えます。運営も順調であり事務局機能も強化されています。引き続き、委員会や部会の活動への予算や支部地方会や年次学術集会における支援を行っていきます。
学術活動も、国内では学術委員会やレジストリー・施設認定制度委員会を中心として J-ROAD DPCならびにJ-ROAD CRといった学会主導の学術研究が順調に行われ、J-CARRYレジストリー制度も発展しており論文化も進んでいます。国際的には、国際交流委員会とAsiaPRevent部会が中心となって、ヨーロッパとアジア地域で継続的な交流を行っています。北米との交流は継続課題として、引き続き模索していきます。当学会で培われた学術研究が、諸外国と共同で行われるようになるよう、また諸外国との研究・交流がますます盛んになり、進化していくようになることを強く希望しております。
心臓リハビリテーション指導士や認定医・上級指導士育成も当学会の最重要活動の一つであり、引き続き普及と教育に努めて、質の高い心臓リハビリテーションの実践ができる人材を継続して育てていく必要があります。現在、約8,000名の指導士が登録されており、回復期リハビリテーションにおいても、多くの心臓リハビリテーション指導士が臨床現場で活躍できるように研修施設を充実していく必要があります。我々には継続的に心臓リハビリテーション領域における臨床・研究、そして後進の育成及びより良い医療の提供を進めていく使命があります。超高齢社会を迎えているわが国における今後の日常診療・研究の方向性として、若手の柔軟かつ斬新な発想を活かし、多職種で取り組み、皆が成長できる未来をめざすべきであると考えております。
これらを踏まえて、本学会の目的である「心臓リハビリテーションの研究および臨床応用を図り、教育と普及に努め、国民の健康福祉の増進に寄与する」ことが、我々の目指す未来と繋がり、わが国のさらなる発展に寄与できると考えております。これを念頭において、本学会は世界の心臓リハビリテーション関連学会と密に連携を取り、多角的かつ総合的な学会運営を目指します。
これまでも、そしてこれからも本学会のあり方で最も重要だと考えることは、「若手の教育および育成」であります。後世に残すべきは人材であるということを踏まえて、また医療人・医学研究者の「人材の育成」というものが、今後の学会、そして医療にもっとも重要だと考えます。本学会の理念として「人材の育成」を掲げ、日本心臓リハビリテーション学会から巣立ち、世の中に貢献できる人材を輩出するよう、引き続き、若手の教育・育成に努めて参ります。
これまで諸先輩方が築いてこられた本学会のさらなる充実と、加えて、本学会を通じたわが国の医学・医療のますます発展に全力で取り組んでまいります。この伝統ある本学会の業績、人材育成をさらに充実・発展させるべく、皆様と共に学会運営に勤めて参りたいと存じます。そして本学会がますます、心臓リハビリテーション診療の発展に貢献できるよう、尽力していく所存です。今後とも、ご指導•ご鞭撻をどうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年8月