心臓病の治療について – 食事療法 Q.6
Question
タンパク質
Answer
タンパク質が不足すると、栄養が足りなくなったり、体の筋肉が減ったりします。最近では、筋肉量の低下、筋力の低下、身体能力の低下で診断される〝サルコペニア〟が注目されていますが、その進行から〝フレイルティ(フレイル)〟と称される、体が脆弱になった状態となり、健康障害に陥りやすくなってしまいます。特に70歳以上のご高齢な方で重要とされており、筋肉量が減ることで身体活動量が低下し、それにより食欲が低下することで食事摂取量が減り、低栄養を引き起こすことで、さらに筋肉量が低下するという悪循環に陥ります。また、すでに心不全などを発症している患者さんは、息切れの症状や動くことへの不安感から運動に制限をかけてしまうことで、さらに筋力が低下し、フレイルの状態になりやすくなります。フレイルの状態では、心不全の治療による改善が難しくなります。サルコペニアの予防には適切な栄養と適度な運動が必要であり、筋肉量を維持するにはタンパク質の合成が必須です。一方で、摂りすぎは肥満や糖尿病のリスクにもなり、腎臓にも影響を及ぼす栄養素ですので、摂取量が大切になります。厚生労働省〝日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会〟の報告書によると、タンパク質の推定平均必要量は、男性50g/日、女性40g/日、推奨量は、男性60g/日、女性50g/日とされています。食事で高タンパク質食品を増やすのが難しい場合、タンパク質を構成するアミノ酸をサプリメントで補給するのも効果があるという報告もあります。