心臓病のことを知ろう! Q.2
Question
どんな原因があるのでしょうか?
Answer
心臓病のうち、冠動脈疾患(虚血性心疾患)の原因として、以下に述べる要因(冠危険因子)が関係しています。弁膜症、心筋症の原因としては、細菌・ウイルスによる感染、先天性、加齢、薬剤などのほか、原因が不明な場合も少なくありません。
1) 生活習慣病について
生活習慣病とは、食習慣や運動不足、喫煙や飲酒などが原因で発症する疾患の総称です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症、喫煙、歯周病などがあり、心臓病の原因となることが知られています。そのため心臓の治療を行う場合、元になる生活習慣病の改善も合わせて行うことが大切です。
2) 高血圧について
わが国において高血圧は男性の35%、女性の25%程度(平成28年国民健康・栄養調査)を罹患していると推定され、国民病とも言われます。生活習慣(塩分の摂り過ぎ、運動不足、喫煙など)が関係します。全身の血管をいためるため、狭心症や心筋梗塞だけでなく腎臓病、脳卒中、大動脈瘤の原因になることが知られています。また心臓が肥大し心不全を来すこともあります。血圧を下げるとこれらのリスクを減らすことができます。
3) 糖尿病について
わが国において糖尿病、糖尿病予備軍いずれも1,000万人と推定されています。(平成28年国民健康・栄養調査)全身の血管をいためることが知られています。腎症や目の網膜症、足の神経障害など小血管を障害したり、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳梗塞、末梢動脈疾患など大血管を障害したりします。糖尿病の人はそうでない人に比べ虚血性心疾患の発症リスクが3倍程度高くなることが知られています。
4) 脂質異常症について
LDLコレステロールが高いタイプ、HDLコレステロールが低いタイプ、中性脂肪が高いタイプがあります。食事、運動不足などの生活習慣が影響しますが、遺伝的素因により若年から発症する場合もあります。コレステロールや中性脂肪は体に必要な物質ですが、多くなりすぎると動脈硬化の原因になります。特にLDLコレステロールはコレステロールが多すぎると血管の壁に侵入し、炎症を起こし血管をいためます。狭心症や心筋梗塞の原因になることから悪玉コレステロールとも呼ばれています。
5) 肥満について
過食、運動不足、遺伝的素因によりおこる内臓脂肪の過剰な蓄積は心臓病と関係があります。脂肪は単なる脂の塊ではなく、多くの物質を分泌しています。内臓脂肪が増えると体に良い物質が減少し、体に良くない物質が増えます。その結果、高血糖や脂質異常、高血圧を引き起こしやすくなります。ウエスト径(男性85cm以上、女性90cm以上)に加えて高血糖や脂質異常、高血圧の診断基準のうち2項目を満たすとメタボリックシンドロームと診断され心臓病の危険が高まります。食事や運動といった生活習慣を改善し適切な体重を目指すことが大切です。
6) 禁煙のすすめ
タバコの煙に含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させることで心臓に負担をかけます。また一酸化炭素や活性酸素など多くの有害物質により血管を傷つけて、さらに血管を収縮させます。喫煙による心筋梗塞のリスクは吸わない人の3倍程度まで上がりますが、禁煙するとリスクは少しずつ下がります。喫煙者だけでなく、煙を吸い込んでしまう受動喫煙の健康被害も問題になっています。最近では禁煙補助薬もありますので今日から禁煙しましょう。