心臓病の運動療法について Q.5
Question
心筋梗塞になった後にマラソンに参加できるでしょうか?
Answer
個々の状態により、参加できるかどうかを判断することになります。多くのマラソン大会は、心筋梗塞を起こした患者さんのレース参加に、主治医の許可を求めています。ただし、主治医からの許可が出た場合でも、マラソンのような過酷な競技での心事故(心筋梗塞の再発や突然死など)を予測することや100%の安全性を保障することは不可能です。したがってどうしても参加したい場合は、自己責任で参加していただくことになります。
参考までに、マラソンを走りきるためにどれくらいの体力があれば良いかを示します。もしあなたの目標タイムが6時間とすると、心肺運動負荷試験という検査で求められる
有酸素運動の限界値、すなわち無酸素性作業閾値(嫌気性代謝閾値またはAT)が6メッツ(21ml/kg/min)以上必要です(「身体活動のメッツ表」国立健康・栄養研究所)。一般的に心筋梗塞後の患者さんのATは3メッツ前後ですので、その倍の体力が必要となります。したがって、心筋梗塞後のマラソン参加は高い壁、と言わざるをえません。